SeAH CSSが、Beamoのデジタルツインを使用して、鉄鋼工場のデジタルトランスフォーメーションを加速
- SeAH CSSの9つの工場(各工場には30~40台の機械)およびその他3か所の現場にまで拡張可能な、高速、簡単、コスト効率の高いデジタルツイン作成ソリューション
- デジタルツイン内での機械データのリアルタイム監視/メンテナンス
- (特に危険な制限区域において)セルフオンボーディングとリモートトレーニングを促進し、SeAHの多数の施設間でのコラボレーションを促進
- 作業現場の状態と手順を文書化して、安全衛生規則に準拠
SeAH CSSは1966年に設立され、韓国の昌原市に本社を構えています。同社は、航空防衛産業や航空宇宙産業向けのハイテク産業用鉄鋼製品や高価値特殊鋼合金の製造を専門としています。
SeAHが求めていたのは、実際に現場を訪れなくても、エンジニアがアクセスするだけで機器のパフォーマンスに関するリアルタイム情報がデジタルに表示されるデジタル工場です。
完全なデジタルトランスフォーメーションに向けた、長く、困難な過程
業界の先駆者として、SeAHはかねてより自社のデジタルトランスフォーメーションを推進してきました。4大陸10か国に工場を持つ同社は、スペシャリストとエンジニアの豊富な人材網を構築し、その人材を各拠点に配置することで、最適かつ高品質の製造を実現する必要があります。
SeAH CSSだけでも9か所の工場を運営しており、最も小さい圧延工場でも23,500平方メートルあります。各工場には平均4つの生産ラインと高度な専門機器があり、生産を遅らせることのないよう、工場担当者が綿密にメンテナンスと監視をしなければなりません。
1つの施設を検査するだけでも、数か月をかけて手動で7,000もの画像と動画を収集する必要があります。そのため、検査とレポート作成には手間と時間がかかり、レポートが完成した頃にはすでに内容が古くなっていることも多いため、レポート結果を活用することが困難でした。
現実世界の状況/状態を反映した仮想世界を作り出すことで、エンジニアは機器の監視/メンテナンスをより安全かつ効率的に行えるようになります。例えば、各工場には30~40台の機械があります。一部の機械は稼働中にカバーを開けることができず、完全に停止してからでないと内部の状態を確認できません。製鉄は超高温下で行われるため、このような手動監視はエンジニアにとって危険かつ好ましくないものとなります。

最高デジタル責任者に就任したMinseok Chae氏は、工場を正確に再現した仮想レプリカを作成するために、さまざまなソリューション(CADなど)を試しました。しかし、多大な時間とリソースを費やしたわりには、それに見合うだけの成果が得られませんでした。その時は1つの工場のデジタルツインを作成するのに、8人のチームで7か月かかりました。完成したのは、工場を3Dでレンダリングした8分間の動画でした。この動画は、見た目は美しいものの、実用性はほとんどありませんでした。このソリューションでは、リアルタイムのデータフィードをデジタルツインに統合するという目標を達成できませんでした。
SeAHは、自社開発プラットフォームのData Forgeを使用してプロセスを自動化するために、すでに機械内部にロボットアームとセンサーを設置していました。しかし、Data Forgeと仮想デジタル工場を連携させることができなかったため、Chae氏のデジタルトランスフォーメーション計画は暗礁に乗り上げていました。
より高速かつ簡単なデジタルツイン作成
その打開策となったのがBeamoでした。Beamoを使用すれば、ミッションクリティカルな施設のデジタルツインを、他のソリューションの10倍の速さで作成できます。この前提に基づき、SeAHとBeamoは、RSB(Reducing and Sizing Block)機のデジタルツインを作成するためのPOC(概念実証)を開始しました。
RSB機のデジタルツインを迅速に作成して、優れた成果を達成。
Beamoのテクノロジーを使用することで、極めて高速かつ簡単にRSBのデジタルツインを作成できることに、SeAHのエンジニアは驚きを隠せませんでした。三脚、スマートフォン、360カメラだけを持ってチームが現場を訪れたときのことについて、Chae氏は次のように説明しています。「他のソリューションでは何ヵ月もかかっていた作業が、Beamoでは数時間で完了しました。しかも、あれだけ短時間で完了したにもかかわらず、品質は全く落ちていないのです」
暗く、目や手の届きにくい重機の内部や溝もキャプチャできたため、エンジニアは、機械を停止してカバーを開けることなく、内部を確認できます。また、Beamoアプリを使用して、撮影した360度の写真をその場でプレビューし、カメラ設定(ホワイトバランス、HDR、シャッター速度など)を動的に変更するための新機能も追加されています。これにより、照明条件が厳しい場所でもスムーズに撮影できます。

BeamoはSeAHのData Forgeと容易に統合可能。
BeamoをSeAHのData Forgeと容易に統合し、RSBのデータチャートをタグで表示できるようになりました。機械に問題が発生すると、システムがオフィスにいるエンジニアに通知を送信します。通知を受けたエンジニアは、機械のある工場まで実際に行くことなく、デジタルツインを通じて問題を確認できます。また、Beamoを使用すれば、工場のベストプラクティス、安全性/トレーニングに関する資料、社内知識、日々の運用に関する資料などをデジタルツインに追加することも可能です。これにより、他施設のチームは、Beamoにログインするだけで、それらの知識や資料を取得して、各自の施設で活用できます。
さらなる拡張
SeAHは、工場のデジタルトランスフォーメーションをさらに推し進めたいと考えています。Chae氏は次のように述べています。「Beamoのソリューションを使用すれば、より少ない時間と労力でより多くの成果を達成できます。次の目標は、RSB機に続いて、生産ラインの残りの機械もすべてデジタルツインに組み込んで、運用的/視覚的に連携させることです」
Chae氏はこのプロジェクトの成功を確信しており、最終的には9か所の工場と3か所の現場のデジタルツインを作成し、その後は他の系列会社(SeAH Steel、SeAH Besteelなど)でも同プロジェクトを推進したいと考えています。